カフェ開業講座修了者の声C
クレオ大阪中央では、毎年春期と秋期に「カフェ開業講座」を開いています。
資金の調達方法や事業計画策定など、経営のプロに一から教わることができます。実際にカフェを経営する女性も講師を務め、開業までの経緯や店を持つ喜びや苦労など、リアルな体験談が聞けると、好評です。
講座での学びを生かし、自分の店を開いた修了者の声を紹介します。あなたの一歩踏み出すきっかけになるかもしれません。
yume-pan工房
湊 たかこさん
平成27年度修了者
昔ながらの商店街や住宅街が広がるJR放出駅周辺。古民家を改装したレンタルスペースがある一角には、音楽教室や美容関連のお店が集まり、地域活性化の拠点になっています。そんな場所に、令和4年10月、ベーグル専門店が誕生しました。パン職人として独立したオーナーが作る、アイデア満載の商品を求めて、今日も次々とお客さんが訪れています。
―自分でお店を始めようと思ったきっかけを教えてください。
約20年間、パン作りを続けてきました。個人店やチェーン店、駅ナカなど、あらゆる形態を経験しましたが、「自分ならではの味を追求したい」「自分のお店を持ちたい」という思いが年々強くなりました。
―最初から今のスタイルでお店を始めたんですか?
まずは知人の紹介で、レンタルスペースを使った間借りカフェから始めました。月1回から2、3ヶ月に1回程度ですが、パンを販売したり、季節ごとにランチを提供したり…。時間やスペースは限られますが、やりたいと思ったことを試せる場。ランチは甘酒パンや酸辣湯など、ちょっと一工夫したメニューを出していました。
数年間借り営業をする中で、毎回楽しみに来てくれるお客さんも増えて自信がつきました。そんな時、カフェと同じ敷地にある小さな倉庫を改装し、常設の店舗にできないかオーナーに相談したところ、快く応援してくれました。夫は販売関係の仕事をしていたので、経理や商品ディスプレイなどで協力してくれました。 今では製造も一緒に行っています。
―小さなお店にたくさんのベーグルが並んでいてわくわくしますね。
夫と2人でキッチンに立つだけで一杯になる小さな店舗を、ベーグルの専門店にすることにしました。工程がシンプルで、スペースもあまり必要ないからです。それに、放出はパン屋が少なく、だったら自分がやったらいいじゃないか!と思って。商品は絞りましたが、国産小麦や天然酵母といった素材にこだわり、一つのベーグルの中に自分のやりたいことをぎゅっと詰め込んでいます。
ベーグルは常時20種類程度。食事でもおやつでも楽しめるように「めんたい大葉クリームチーズ」「キャラメルかぼちゃ」「赤ワインとレーズンくるみクリームチーズ」といった変わり種も用意しています。何度も改良を重ね、お子さんからお年寄りまで食べられるモチモチ食感に仕上げました。
専門店ですが、ベーグル以外の商品も一つだけ出しています。柔らかく、シンプルな湯種パンは、自慢の一品。特にお年寄りに人気で、「今日は『ふわふわ』ある?」と、いつも朝食用に買いに来てくださる方も多いです。
—雇用されるのではなく、自分で責任を持って働くのは大変ではないですか?
ありがたいことに、作っても作っても、どんどん商品が売れていきます。朝4時から20時頃まで、生地をこね、茹で、オーブンで焼いて…の繰り返し。休みの日も仕込みをしていて、体力的にもハードです。それでも、「おいしかった」「ありがとう」、その一言で疲れが吹き飛びます。
—常連さんも多く、地域の皆さんに愛されているお店だと感じます。
近所のお店の焼きたてのパンをおやつにしたり、出来立ての豆腐をお遣いで買ったり…。下町で育った幼少期を振り返ると、当時の匂いや空気を今でも思い出します。私も、この地域に住む子どもたちが、将来思い出してあたたかな気持ちになるような存在をめざしています。今はテイクアウト中心のお店ですが、いずれはカフェもやってみたいという思いもあります。
—これからお店を始めてみたいという方にアドバイスをお願いします。
失敗してもいいから、思い立ったらまず行動する。そこから、課題が見えたり、方向性が定まったり、前に進めると思います。今は、チャレンジカフェのほか、地域にも間借りできるスペースもあります。「お試し」の場から、少しずつ活動を広げてみるのもおすすめです。
---------------------------
yumepan-工房
大阪市城東区諏訪1-18-3
詳しくはホームページ