カフェ開業講座修了者の声A
クレオ大阪中央では、毎年春期と秋期に「カフェ開業講座」を開いています。
資金の調達方法や事業計画策定など、経営のプロに一から教わることができます。実際にカフェを経営する女性も講師を務め、開業までの経緯や店を持つ喜びや苦労など、リアルな体験談が聞けると、好評です。
講座での学びを生かし、自分の店を開いた修了者の声を紹介します。あなたの一歩踏み出すきっかけになるかもしれません。
絵本とパンケーキカフェ アイアイ
オーナー・矢野 初枝さん(63)
令和元年度春期修了者
大阪市阿倍野区の文の里商店街。下町情緒あふれる街並みに、「絵本とパンケーキカフェ アイアイ」があります。店名のとおり、絵本のようなかわいらしい子ブタとサルが描かれた看板が目印です。令和2年5月に開店し、地域のにぎわい作りに貢献しています。
―お店について教えてください。
大人も子どもも楽しめる絵本カフェです。カウンターやテーブル席のほかに、小上がりの座敷もあるので、小さなお子さん連れでも安心して過ごしていただけます。パンケーキは、バターの代わりにオリーブオイルを使ったヘルシーな生地。ヨーグルトも入れ、しっとり柔らかく焼き上げています。フルーツや生クリームを盛るおやつメニューだけでなく、厚焼きたまごを挟んだパンケーキサンドも評判なんですよ。
―メインメニューをパンケーキにしたのはどうしてですか。
長年、小学校教諭をしていました。特別支援学級の教え子から、毎朝自分でパンケーキを焼いていると聞き、その子と一緒にお店をしたいなと思ったのがきっかけです。生地を焼いたり、接客をしたり。いつか、障がいのある卒業生たちが、働く練習の場を提供するのが夢です。カウンターに飾っている「はらぺこあおむし」のイラストも教え子の作品なんですよ。
―クレオ大阪のカフェ講座を受講したきっかけは。
元々社交的な性格で、退職後には人の集まるにぎやかなスペースを開きたいと考えていました。夢を夢で終わらせたくない!そう自分を奮い立たせて申し込んだのが、クレオ大阪のカフェ開業講座。料理の専門学校などは受講料も高額ですが、この講座は良心的な値段で、基礎的なことから学べるのがいいなと思ったのが決め手です。
―講座で学び、役立ったことはありますか。
創業計画書を書く講座では、「融資を受ける予定がなくても、書いた人の方が長続きする」と教わりました。客観的に自分の事業について考えるいい機会になりました。
先輩カフェオーナーのお話は、モチベーションが上がりました。初期費用を抑えるために古民家をDIYをするなど、苦労を楽しむ姿勢がすてきでした。ただ美味しい、ただ駅に近い。それだけではやっていけないという厳しいお話も印象的でした。チェーン店が競合する中で、自分のお店に足を運んでもらうには…。そこで思いついたのが、絵本カフェでした。大学時代は児童文化ゼミに所属し、教員時代も絵本の読み聞かせが何よりの楽しみでした。家にある300冊近い児童書や絵本が、お客さんの心を癒してくれるのではないか、と。
―開業に向けてどのように準備を進めましたか。
各地の絵本カフェに足しげく通いました。どんなメニューや内装がいいかリサーチし、物件も並行して探しました。気が付いたのは、車いすやベビーカーが入りにくいお店が意外に多いこと。子連れの方に優しい設計にしようと、広い出入口や、小上がりを設けました。商店街内の物件なので、常に明るく、人通りがあるのも安心できますね。キッチンは広くはありませんが、作業同線を工夫し、てきぱきと動けるようになってきました。
―コロナ禍で飲食店は厳しい状況にあります。どのような店づくりを心掛けていますか。
消毒や換気など、感染拡大防止に努めて運営し、テイクアウトにも力を入れています。こんな時代だからこそ、ほっとできる空間を求めている方がいると思います。
「コロナ禍でどこにも行けず苦しかったけど、近くに安心できる場所ができた」。子どもの手を引き、そうお礼を言ってくれたお父さんの姿にじんとしました。「子どもの泣き声が迷惑をかけるのでは…」と心配している親御さんには「泣いていいんだよ」と声をかけています。コロナ禍で制約はありますが、どんな人も優しい気持ちになれる場所を提供していきたいです。
大変な時期ですが、いつも応援してくれるカフェ講座の同期たちも、心強い存在です。飲食店に関する情報交換をしたり、励まし合ったり。すてきな仲間に出会えました。
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絵本とパンケーキカフェ アイアイ
大阪市阿倍野区昭和町1-4-24
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