韓国・ソウル市のウーマン・フレンドリー・シティへの挑戦
〜「女性が幸せな都市」プロジェクトとガイドライン(評価指標)〜

女性にやさしい安全・安心なまちは、みんなにやさしく、世界から人が集まる都市になる!

研究室長の写真

槇村久子(まきむら ひさこ) クレオ大阪研究室長

京都大学大学院農学研究科林学博士課程修了後、奈良新聞記者、奈良県職員等を歴任し、現職に至る。 専門分野は、女性学、環境計画、造園学。

2006年度には、文部科学省「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」において「女子学生のキャリア教育の体系化と普及」事業が採択され、責任者を努める


ウーマン・フレンドリー・シティ第2回大都市女性国際ネットワークフォーラム

ウーマン・フレンドリー・シティ第2回大都市女性国際ネットワークフォーラムの写真 「ウーマン・フレンドリー・シティ」って何?ソウルで10月に開催された「第2回大都市女性国際ネットワークフォーラム」開会の映像はすべてを語っていた。

女性が安心して働き、子どもをつれて動ける、健康で、暴力がない、など、女性が安全・安心して住み、働き、動ける、そんな都市はみんなにやさしい、世界から人が集まる都市である。これは、クレオ大阪研究室が言ってきた「男女共同参画のまちづくり」!

「女性が幸せな都市」づくり

 ソウル市は「女性が幸せな都市」プロジェクト(女幸プロジェクト)を現在進めている。プロジェクトの発端は女性職員とソウル市長の会合がきっかけ(※)。

 具体的には、エレベーターの窓がガラス張りで中が見えたら安心、電車やバスのつり革を低く、ベビーカーでも乗りやすく、駐車場でベビーカーを降ろしやすく荷物も積み込みやすく、道はハイヒールでも歩きやすく、安心して使えるトイレを、住居は女性の声を入れて設計してほしい、等々。

評価指標

女性にやさしいまちづくりのガイドライン(評価指標)の写真(女性にやさしいまちづくりガイドライン)では、どのような都市が女性にやさしいのか。そこで作成されたのが、女性にやさしいまちづくりのガイドライン(評価指標)〈写真〉。世界で初めてという。「トイレ」「駐車場」「道」「公園」「住居(アパートメント)」「職場」の6部門から構成されている。今回の女幸プロジェクトは、ソウル市の諮問により、ソウル女性家族財団(ソウル女性プラザ)がモニタリングを行い、ガイドラインを作成し、市民への啓発と啓発する人への指導もおこなっている。

 「女性建築家」「ソウル女性プラザ研究員」で研究開発し、「ソウル市」の各部署の課長以上と会議、法的基準などをチェックし、3者の協力により作成された。評価指標の項目は「必須事項」と「選択事項」がある。例えばトイレの必須事項は便器の数が男女比1:1以上、非常ベルの設置、照明は150〜200ルクスなどである。

選定のプロセス/市民、行政、研究者のパートナーシップによる評価

認証の写真 ソウル市内の25基礎自治区でプロジェクトを実施。ガイドラインの指標に基づくモデルケースを推薦させて、建築家と市民による評価委員が現地をチェックシートにより採点し、認証評価委員会を開催してソウル市の評価、認証を与えている。 

 現在、第1回選考で「トイレ」41箇所、「駐車場」47箇所の合計88箇所、第2回選考で「トイレ」「駐車場」合わせて約180箇所が認証。「公園」と「道」は現地調査が終わり、現在認証を待っているところである。

公園・道・トイレ・駐車場など

駐車場の子連れ専用スペースの写真駐車場には子どもを連れた女性のマーク〈写真〉。

台数の20%以上を女性の専用に。出入り口の近くに女性専用のスペースをとり、監視カメラと非常ベル、地下駐車場の場合はエレベーターの扉は透明。公園(子ども大公園)は、入ってすぐわかる場所に公園管理室を置くこと、街灯は20メートル間隔で平均15ルクスの明るさ、ベンチは200m以内毎にある、きれいで快適に管理されている、警察と安全対策を取り組んでいる、など。同公園には選択事項としてのナーシングルームやベビーカーのレンタルがあった。

監視カメラ設置の写真 道は、区や警察が横断歩道などに監視カメラを設置(写真)、女性や高齢者向けのクッション道路や1.5メートル幅以上の歩道、休息できるベンチ、ブロックの溝は5mm以下にするなど。以上、認証された代表例は、地下鉄ソンス駅、ヨイド駅、現代デパートチョンホ支店のトイレ、子ども大公園など。

 この女幸プロジェクトは、プロデューサー(生産者)とコンシューマー(消費者)を合わせてプロシューマーという考え方に基づいていることである。つまり、市民、行政、研究者が一緒にまちを創っていく実践である。

 そして、私たちの住むまち、大阪でも「女性にやさしいまちづくり」の視点で取り組んでいくことが大切である。

◆都市の統計データ

大韓民国の首都であるソウル市は、日本では首都・東京の特別区部に相当します。
また、韓国の国土の1%にも満たないソウル市に、人口全体のおよそ4分の1が住んでいます。

  ソウル市 東京都(特別区部) 大阪市
人口
1042万人
女性525万人、男性517万人
866万人
女性436万人、男性430万人
265万人
女性136万人、男性129万人
世帯数
405万世帯
430万世帯
127万世帯
人口密度
1.7万人/平方キロ米
1.4万人/平方キロ米
1.2万人/平方キロ米
面積
605平方キロ米
622平方キロ米(特別区部)
222平方キロ米

※データは2007年

女幸プロジェクトがスタートした「きっかけ」(※)

ソウル市長が開いた女性職員たちとの会合の席で、「市役所の裏の道が、ブロックの溝が大きくて、ハイヒールが溝に挟まって歩きにくい」というある女性職員の声が、このプロジェクトの発端となっています。

本ページは、「情報誌クレオ&セミナー」冬号(平成22年1月15日発行)に掲載したものをベースにしています。

研究室

研究テーマ・報告

  • 平成26年度
    ・女性の活躍推進に対する男女就業者の意識調査
  • 平成25年度
    ・男女共同参画に関する市民意識調査
  • 平成23年度
    ・企業における「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」への取組み実態調査研究
    ・地域における男女共同参画の課題解決支援プログラムに関する調査研究
  • 平成22年度
    ・就労に関する市民意識・実態調査
    ・子育て中のパパ・ママにやさしいまちづくりを考える調査研究
    ・日韓・男女共同参画のまちづくりフォーラム報告
  • 平成21年度
    ・20〜30 代働く男性の男女共同参画に関する意識と実態
    ・韓国・ソウル市「女性が幸せな都市」プロジェクトとガイドライン(評価指標)報告
  • 平成20年度
    ・男女共同参画のまちづくり 〜女性の社会参画と「住む」「働く」「行く」のハードに関する都市の変化〜
    ・男女共同参画に関する市民意識調査・男女共同参画に関する市民意識調査

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